本当に改悪か?1級FPが年金制度改正法案を解説!

HomeBLOG本当に改悪か?1級FPが年金制度改正法案を解説!

本当に改悪か?1級FPが年金制度改正法案を解説!

大淀支店の1級FP、土屋です。先月、年金制度改正法案が公表され、「遺族厚生年金が終身支給から5年に短縮される!大改悪だ!」とネットで話題になっています。本当に改悪なのか?ポイントを絞って分かりやすく解説してみます。

今回の遺族年金改正の大きなポイントは、以下の3つになります。細かく説明すると非常に複雑になるため、ここでは要点を絞って分かりやすくご紹介します。

 

① 子ども(18 歳以下)がいる家庭は「むしろ保障アップ」

終身支給はそのまま

終身支給が5年の有期支給になることが話題になっていますが、子ども(18 歳年度末まで)がいる配偶者は、改正後も遺族厚生年金を(再婚しない限り)一生涯受け取れます。

子ども加算が増額

遺族基礎年金に上乗せされる子ども加算が、1人あたり年 234,800 円→ 281,700 円 に引き上げられます。子ども3人以上の多子世帯は更に加算。18歳以下の子どもがいる家庭では保障アップになります。

再婚後も子が年金を受け取れる

現行では再婚で遺族年金が打ち切られますが、改正後は親が再婚しても、子本人が遺族基礎年金を受け取れるようになります。ただし、受給権があるのは、18歳以下(正確には18歳到達年度の末日まで)の子ども(一定の障害のある子どもは20歳未満)になるので、規定の年齢を超えると受け取れなくなります。

 

② 子どものいない59歳以下の女性は「働きなはれ」

従来の終身支給が5年間に短縮

従来は終身支給だった層(特に 30~50 代の妻)が 大幅カット の対象に。5年間は受給額が約1.3倍になりますが、受取期間が終身から原則5年に短縮されます。2028年施行時点では40歳未満のみ対象ですが、段階的に59歳以下へ拡大予定です。


収入が増えると打ち切り

月収20~30万円超になると、支給が打ち切られる設計に。正確には、20万年を超えると徐々に減額され、30万円超で完全に打ち切られます。「月収10万円以下なら満額受け取れる」という救済措置はありますが、遺族年金は「生活再建までの一時的支援」という位置づけになります。要は、「子どものいない59歳以下の女性は働きなはれ」という国からのメッセージだと私は思っています。

 

 

③ 良くも悪くも「男女平等」に

子どものいない男性にも支給

今まで終身で受給できた子どものいない女性が原則5年の受給になる一方、これまで受給対象外だった子どものいない20~50代の夫にも、5年間の有期支給が認められます。

所得制限の撤廃

現行の年収850万円超の支給制限がなくなり、高所得者でも遺族年金を受け取れるようになります。

 

以上、要点を改めてまとめると、

・これからは良くも悪くも男女平等

・配偶者が亡くなっても、(18歳以下の)子どもの居ない家庭は男女ともに働きなはれ

・子ども(18歳以下)がいる家庭は、今までよりも厚遇しまっせ

って感じです。

 

施行されるのは2028年4月以降、内容も100%確定ではない

以上、遺族年金の改正について解説いたしましたが、施行は2028年4月以降で、内容も100%確定ではなく今後変更される可能性もあります。また、このまま施行されるとしても変更は段階的で、詳細な年齢引上げスケジュールは未確定です。

ですから、慌てて今すぐ何か対応をしなければいけないことはございません。しかしながら、細かい修正は入るとしても、大まかな方向性として遺族年金がこの方向で変わっていくのはほぼ間違いないと思われます。

 

「私の場合はどうなるの?」「具体的に今から何をすればいいの?」と不安な方は、是非とも弊社までご相談下さい。

弊社では、保険はもちろん、保険以外のお金のことでもお客さまをサポートし、万全の安心をお届けいたします!

previousnext